会長挨拶

関東学生剣道連盟   佐藤会長

御 挨 拶

関東学生剣道連盟会長

佐 藤 成 明

 平成24年9月15日を以って立ち上げられた関東学生剣道連盟のホームページは、広く関係皆様に共通の情報を提供し、剣道発展のために効果を挙げつつあります。

 立ち上げとその後の管理に尽力されています関係の皆様に、衷心より感謝を申し上げます。

 学生剣道の歴史を紐解きますと、明治維新後、一時衰退の時期のあった剣道が明治10年代、当時の大学、高等学校、高等専門学校、中等学校で課外活動あるいは随意科として実施されるようになりました。

 学習院では明治12年に剣道場を建設し、榊原鍵吉を教師として招聘し授業を開設していたことや、福山誠之館中学や長崎中学、濟々黌(せいせいこう)中学(熊本)などの中学校で盛んに行われていたことが記されています。

 明治20年代になって、大学や高等専門学校でも盛んに行われるようになりました。特に明治23年に旧制第一高等学校が一橋から本郷に移った時に開催した撃剣大会が、学生剣道大会の嚆矢(こうし)であるとされています。一高、東大、学習院、慶應義塾大などが各大学や高等専門学校に校友会や体育会が創設され、クラブ活動としての剣道が学生の間に広く普及してゆきました。

 明治42年(1909)には学生剣道組織のはじめと言われる「東京学生剣道連合会」が組織され、昭和3年(1928)11月に関西学生剣道会と協議の結果、学生剣道の全国組織である「全日本学生剣道連盟」が結成された経緯があります。

 当時の学生剣道連盟は各種大会の開催、夏休みを利用した全国各地での錬成大会の開催などを通じて、とかく伝統の殻に閉じ籠りがちな剣道界にあって柔軟な発想の下に試合規則の改革、指導法や技術の体系化など、剣道の普及発展に積極的に参画し主導的な役割を果たし、剣道界に学生中心の時代ともいうべき一時代を画するに至ったとも言われています。

 第二次世界大戦後の剣道禁止の時代を挿んで、旧来の弊風を排除して新生剣道として再発足させた戦前の学生剣道界で活躍された先輩方の熱い思いが、学生剣道の指導として歴史と伝統の「剣道の在り方」を現在の我々に伝えてくれています。

 剣道の国際的な普及と相俟って剣道の競技化の傾向は益々色濃くなりつつあります。

 競技があるからには勝利に向かって邁進するのは当然のことですが、先達が伝えた日本の伝統的な文化財として「理に適った、強く、美しい」品格のある剣技の修得を目指す相互の切磋琢磨、即ち、「人間形成の道」としての「剣道の在り方」を正しく受け留め、更に良いものを次の世代に受け渡す義務が現代に生きる我々にはあることを自覚しなければなりません。

 今回のホームページの立ち上げを機に、情報を正しく共有しつつ、学生剣道のみならず剣道の更なる発展のために寄与されんことを切望して、挨拶とします。